勝手口とストッカー

こんにちは。オンラインショップ「道徳の本屋さん」店長の佐野です。
先日の休みにこんなことがありました。わが家には勝手口の近くにゴミを一時保管するための屋外ストッカーが置いてあります。その日の朝食後、生ゴミやゴミ箱に溜まったゴミをまとめて、ストッカーに置いておこうと勝手口を開けっぱなしで作業をしていました。

それを見た妻が「虫が入ってくるかもしれないから、勝手口を閉めてから作業してよ」と言ってきたのです。わが家の勝手口のドアは重く、男の私でも開閉するのに少し苦労します。いちいち作業を止めて、勝手口を閉め、作業が終わった後にまた勝手口を開け閉めするより、この作業をすぐに終わらせる方が時間もかからないし、手間もないと判断し、妻の声を気にすることなく、作業を終えました。

すると、部屋に戻ってきた私に妻がこう言いました。
「私は何度も『すぐに閉めて』って言ったのに、あなたは閉めてくれなかった。その間に虫が入ってきたらどうするの? 私が虫が苦手ってこと、知ってるでしょう」
そして、妻は自分の部屋に閉じこもってしまいました。

最初は「なんだよ。せっかく率先して家事をしているのに『ドアを閉めろ』って、自分勝手が過ぎるよ。せっかくの休日が台無しだ」と私も思っていましたが、時間がたって冷静になると、次のように考えることができました。

確かに妻は虫が苦手で、小さい羽虫が家に入ってきただけで大騒ぎします。ストッカーにゴミを一時置きしているので、その周囲には羽虫がいる可能性も高いでしょう。わずか数十秒、数分のことでも、虫嫌いの妻からしてみれば、耐えられない時間だったのかもしれません。

ここで『ニューモラル 心を育てる言葉366日』2月6日「想像力、判断力、行動力」の一節をご紹介します。
――私たちは、さまざまな人間模様が入り混じった世界に生きています。一人ひとりで立場や境遇も異なれば、物の見方や考え方にも大きな隔たりがあります。また、その時々で気持ちも状況も変化するものです。ここで円満な人間関係を築いていくためには、思いやりの心に基づく想像力と柔軟な判断力、そして「よい行い」を実践に移す行動力が大切です。そうした努力は、家庭の中でも忘れないようにしたいものです。むしろ、夫婦や親子などの親しい間柄であればあるほど、相手のことを「分かったつもり」になって、かえって実践が難しくなるのかもしれません。だからこそ、ますます想像力を発揮して、相手のことを深く思いやり、許し合い、いたわり合っていく必要があるのではないでしょうか――

相手のことを「分かったつもり」になって、かえってないがしろにしていたのだなと反省する出来事となりました。「早くドアを閉めて」という言葉の背景にある妻の思い。それに思いを馳せることができる想像力を身に付けられれば、こんなケンカをすることもないのかなとしみじみ思う今日この頃です。

 

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