おばあちゃんの書き方教室

こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。

7年前、ある書道会の支部として、義母を講師に迎えた“おばあちゃんの書き方教室”を始めました。生徒は、孫とわが家の近所の子供たちです。書道会から出される課題(硬筆・毛筆)を、月に1回のペースで仕上げています。

母は、わが家から電車で約2時間かけて教室に来ています。
たとえ台風のときでさえも休もうとしない母。
昨年は、義父が亡くなりましたが、母は父の体力がぐっと落ち込んだあたりでも教室を休みにすることはありませんでした。
それは、父の願いでもあったのです。
「自分は大丈夫だ。台風でも行こうとするくらい、お母さんの生き甲斐なんだから」と、母を教室に向かわせていたのです。
だから、この7年間で書き方教室を休みにしたのは、父が亡くなる前と後の2ヶ月(2回)だけです。

さて、今年の春、孫である私の息子は、中学生となりました。
私の心のどこかで、
“書き方教室は、息子が小学生まで”といった考えがありました。
母から
「中学生になると、もう教室には通えないかしら……」と、たずねられたとき
「あの子は剣道部に入りたいそうです。部活があるとどうしても、書き方教室の時間には間に合いません」と、答えた私。

でも、こうして7年間を振り返ると、母にとって大きな喜びになっていることを痛感せずにはいられません。
ふと“部活”より“母”という気持ちが、グッとこみ上げてきたのです。

息子に
「今度の15日は“おばあちゃんの書き方教室”だね。あなたは部活があるでしょう。どうする? 」と、聞いてみました。
すると息子は
「“おばあちゃんの書き方教室”に行くよ! 剣道も大好きだけど、やっぱり“おばあちゃん”! 」と、あっさり答えたのです。

“そうだよね! ”
息子の言葉に、自分が大事にしたいことを再確認させてもらったような気がしました。

“書き方教室は小学生まで”
というのは、中学生の生活がどうなるのかわからない不安から作り出した、私自身の勝手なルールでしかなかった。いま、大事にしたいことは“母の喜び”です。

ここで、望月幸義さんの著書『「考え方」を変える――喜び多き人生を築く』から一節をご紹介します。
“人生には秘密があります。この秘密がよく分かれば、暗い人生がパッと明るくなります。(中略)人生の秘密は、考え方を変えることにあります。
考え方を変えるということは、考え方の癖を変えるということです。見る、聞くなどの五感も癖を持っています。歩く、歌うなどの動作も癖を持っています。癖は常に一定の力を発揮しています。考え方の癖も一定の力を発揮していることになります。考え方を変えるということは力の発揮の方法を変えることを意味しています。もっと大きな力を出しましょうということです。
「暗い人生がパッと明るくなる」と述べましたが、「パッと明るくなる」という考え方のほうが、力強い考え方であると思います。私たちは、物事はそんなに簡単によい方向に変わるものではないという考え方の癖を持っています。すべてのことは次第次第にゆっくり変わるというのです。しかし、「なかなか変わらない」というのはマイナス発想であり、「パッと変わる」という考え方のほうが大きな力を持っています。そんな簡単ならやってみよう、やろうという気持ちになるからです”

15日の書き方教室当日は息子も参加し、私の心も迷いなく“母の喜び”に向かってストレートに向き合うことができました。
その夜、夫が
「オレは母さんの帰り際にちょっと会っただけだったけど、なんだか会った瞬間からとっても顔がにこやかだった。そして君に『よくしてもらったからお礼を言っておいてくれ』って何度も言っていたよ。君、なにか特別なことでもした? 」と言うのです。

考え方を変え、大事にしたいことを明確にしただけで、いつもと同じことが、こんなにも違うのか……と、自分でも驚きました。

 

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