心の成長

こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。

先日、地域の森の保全団体から
「今度、初めて出席する会議があり、市内の保全団体がいくつも集まります。うちの団体を紹介するために時間をもらっているので、小林さんが作ったパワーポイントを披露できたらと思います。もしご都合が合うようでしたら、また親子でやってくれませんか」と、声をかけていただきました。
このパワーポイントは、3年前、秋の収穫祭に遊びに来てくれた方たちに
“この森がどんな森なのか、どんな保全活動をしているのかをわかりやすく伝えることができたらいいな”
と、そんな思いから作ったもので、スライドしていく画像に合わせ、息子と2人、セリフを掛け合いながら進めていく15分程度の内容です。
久しぶりにお役に立てることが嬉しくて、お引き受けすることにしました。

当日、1グループに与えられた時間は15分。
“セリフをいつもより早口で言えば、時間内に終わるだろう”と思っていました。ところがつい、挨拶に時間がかかってしまったのです。
発表が始まり、残されたスライドがあと1枚というところで、息子の隣に座っていた司会者から「あと10秒」と声がかかりました。さらに早口にしても間に合わず、“時間です”と手合図がありました。
私はパソコンの操作とセリフを言いながら“すみません”と手合図をしてセリフを続けました。息子も恐々として早口でセリフを返します。
すると司会者が
「もう切ってもいいですか。きりがないんで……」と。
私はマイクを外し、小さな声で
「あと3行で終わります」と伝え、続行し、発表を終えました。
席に戻ると、他の団体の方が数人
「良かったよ! いったいどんな経緯でこれを作ったの? 」などと、興味を持って声をかけてくれました。
所属している団体の先輩たちも
「ありがとう! とっても良かった」と、喜んでくれました。

会場を離れ、息子と二人でお昼を食べながら、
「だいぶ緊張したでしょう」と、話しかけた私。
思えばこれまで、ホームグランドの森の温かな雰囲気のなかで発表をしてきた息子。でも今日は、各団体の代表や議員さんが集う粛々とした雰囲気のなか、時間を守れなかった私のせいで、司会者から厳しい言葉を受けることに。“息子は一体、どう受け止めたのだろうか”と、心配していたのです。
「すごく緊張した。だって、あの席で発表したんだよ……。ちょっと怖かった」と息子。
「そうだね。とくに“もう切ってもいいですか。きりがないんで”の言葉はショックだったよね。たしかに、時間内に終われなかったのはよくないことだけど……。でもその一方で、喜んでくれた人たちが大勢いたことが、とても嬉しかったね」と私。
すると息子は
「あの言葉はひどいと思うよ。本当に、ひどい! でもね、僕は会を進行するには、ああいう考えも必要かなとも思うんだ」と、ポツリと言ったのです。
私は息子から、“これくらいショックだったんだよ”と、そんな言葉がもっと出てくるんじゃないかと思っていました。
ところが、それよりも会議の進行や、司会者の立場に立って考えることができるようになっていたなんて……。

ここで『ニューモラル 心を育てる言葉366日』12月17日“「見守る」という子育ての基本”をご紹介します。
――「子育て」とは、単に身体的な成長を指すのではありません。それは、子供の健全な心と体を育てることです。とりわけ「心」を育てることは、親の大切な役割であり、大きな責任の一つだといえます。
ところが、忙しい毎日を送っていると、親は時にイライラして、子供の心を疎かにして叱りつけたりすることもあります。そうしたときこそ心にゆとりを持って“この子はどんな気持ちでこうしているのだろうか”と、見守ることを心がけたいものです。子供を見守るためには、親が子供の心としっかり向き合い、その心の声に耳を傾けていくことが何より欠かせません。これは幼児期の子育てだけに重要なことではなく、子供がいくつになっても親が忘れてはならない「子育ての基本」といえるでしょう――

「たしかに! 会議をまとめる人は必要だし、その人には責任がある。だから、さっきの司会者も、私たちを傷つけようと思ったわけじゃなくて“ただ時間通りに終わらせたかった”それだけなんだよね。
それにしても、お母さんはあなたとこんな話をすることができて、なんだか嬉しいな」と、私。
息子の心の成長に感動した一日でした。

 

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