家中のいたるところに
こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。
ある日、少し離れて暮らす義母が、遊びに来たときのことです。
「最近、足が痛くて整形外科に通っているの。院内は、私と同じくらいの年齢の方でいつも混んでいるのよ。支払いは、決まって110円。ところが、この前、財布を見たら100円玉をうっかり切らしていて、そのかわり50円玉が3枚あったの。“ごめんなさい。細かい出し方して”って出したら、会計の人が“まあ! 50円玉、嬉しいわ”って、あまりにも大喜びするものだからビックリしちゃった。
だいたいの方が110円だから、それまで私がしていたように、100円玉2枚で払う人が多いらしいの。そうすると、おつりで50円玉が不足してくるでしょ。銀行へ両替しに行かなくちゃいけないし、そうなると手数料もかかる。
だから私、次の日から、なるべく50円玉で払うようにしたのよ」と、母。
“なるほど~”と、うなずいた私たち夫婦。
その日から家のいたるところで小銭を見かけるようになりました。
靴箱の飾り棚の上。
テレビの横。
リビングテーブルの上。
夫が洗濯機に入れたYシャツの胸ポケット。
ときには車の運転席脇のポケットの中からも。
はじめのころは、小銭を出しっぱなしにしないよう夫にお願いをしていましたが、あるとき、ふと気がついたのです。
“50円玉ばかりだな”と。
どうやら夫は、買い物をした際のおつりに50円玉を見つけると、財布へは入れず、その場ではじいているようです。
そうして集めた50円玉を、月に1度、遊びにくる母へ渡します。
「これ、病院で使うといいよ。小さな額でなんだけど……」と、夫。
“小額だけど、母のためにもなるし、母によくしてくれる病院が喜んでくれるなら……”
きっと夫は、そんな思いでいるのです。
ここで『ニューモラル 心を育てる言葉366日』の2月6日“想像力、判断力、行動力”をご紹介します。
――私たちは、さまざまな人間模様が入り混じった世界に生きています。一人ひとりで立場や境遇も異なれば、物の見方や考え方にも大きな隔たりがあります。また、その時々で気持ちも状況も変化するものです。ここで円満な人間関係を築いていくためには、思いやりの心に基づく想像力と柔軟な判断力、そして「よい行い」を実践に移す行動力が大切です。そうした努力は、家庭の中でも忘れないようにしたいものです。むしろ、夫婦や親子などの親しい間柄であればあるほど、相手のことを「分かったつもり」になって、かえって実践が難しくなるのかもしれません。だからこそ、ますます想像力を発揮して、相手のことを深く思いやり、許し合い、いたわり合っていく必要があるのではないでしょうか――
家中のいたるところに今日も散らばっている50円玉は、夫が母を思いやり、「よい行い」を実践した行動力の表れなのでしょう。
家中に“愛”を感じてしみじみする今日このごろです。
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