「あのときは……」と言える日まで

 こんにちは、忍足(おしだり)です。
 新型コロナウィルス感染症が世の中を席巻し、不安が世界を覆っています。日本においては政府が緊急事態宣言を発令し、国民も一丸となって立ち向かっています。この事態を乗り越えるため、お互いに感染防止に務めていきましょう。

 この自粛ムードの中、私たち大人もたいへんなのですが、最も辛いのは子供たちなのではないだろうかと思います。
 わが家には中学二年生の息子がおります。宣言が出る以前より、通っている学校も休校になりました。元気が有り余っている年代です。最初のうちこそ休みを満喫していたのですが、家の中に閉じこもりっきりというのはストレスが溜まるらしく、だんだんと不機嫌に。とはいえ、外に出ようにも政府の宣言以降、営業を自粛する業種が多く、趣味の店も休業中。思うようにいかない事態の中、悶々と過ごしています。
 テレビで見たのですが、新型コロナウィルスの感染拡大が続くヨーロッパでは、外出制限によるストレスから児童虐待やDV(家庭内暴力)による被害が増えているそうです。
 日本においても、ここが踏ん張りどころ。良き国民性を発揮していく時だと思います。

 さて、ついに私もテレワークでの勤務となりました。先に書いた息子ですが、四六時中親が家にいる状態となって、不規則な生活について私から小言を貰うようになりました。ああ言えばこう言う式に、いちいち反論してくる姿を見ていると、小憎らしいのと同時に親と議論しようとする姿勢に“こいつも成長したなあ”と思わされます。

 その息子が、私の母(息子にとっては祖母)が暮らしている地方に感染症患者が確認されたと報じられると
「おばあちゃん、大丈夫かな……。本当は会いに行きたいけど、今は無理だよなあ……」
とポツリ。生意気なことを言っていても、優しい一面が表れると親としてうれしいもの。その感性を大切にしていってほしいと思うばかりです。

 今回紹介する本は、野口芳宏先生が著した
『子供の挑戦・大人の出番』

『子供の発信・親の決断』

の2冊です。
 本書は『れいろう』誌に3年間の連載に加筆訂正して形となったエピソード集であり、筆者の野口先生いわく「子育てを深く考え合うヒント集」です。ところどころに差しはさまれた「野口語録」は必見! これから子育ての機会を得る方にとっては参考書に、またすでに子育てが落ち着いた方にとっては子育て時代の思い出を呼び覚ます一冊となることでしょう。

 外出もままならないときだから、ゆっくりとした読書の時間はいかがでしょうか。早く事態が収束して、“落ち着いて良かったね。あのときは大変だったね”と言える日が来ますように。