伊勢神宮 観光前に読んで良かった、知識の詰まったこの1冊

こんにちは。「道徳の本屋さん」店長の忍足です。
義母と伊勢神宮参拝をしたとき、旅行前に読んでおいて良かった本をご紹介します。

「死ぬまでに一度、伊勢神宮に行ってみたい」
 当時、札幌で生活していた義母は大病を患い、何度か入退院を繰り返していました。その義母が、何の気なしにこぼした言葉です。

 あまり長い距離を歩くことができない義母。その義母を連れて広い神宮を参拝できるのだろうか。私と妻は情報を集める中で、神宮では電動車いすの貸し出しを行っていることを知りました。
 楽に神宮内を回れることがわかり、参拝が現実に近づくと、義母の思いはどんどん広がっていきます。
「伊勢神宮へ行くなら、ついでに天岩戸も回ってみたい。おかげ横丁で買い物をして赤福を食べたい。そういえば夫婦岩も見たい……」
 私たち夫婦は、義母の願いを可能な限りすべて叶えるため、綿密な計画を立てました。

読んでおいて良かった『日本の心を伝える伊勢の神宮』(伊勢神宮の内宮、外宮の平面図も載ってます)

 やって来ました伊勢神宮!
 旅の間、義母の体調は極めてよく、希望通り神宮内宮前で伊勢うどんを食べ、予定通り電動車いすをお借りして神宮を参拝。義母は時に歩いて階段を上り下りするなど、徒歩で参拝する時間は割と長いものとなっていました。

 一緒に神宮を回っていると、時折、神宮について義母からいろいろと質問されます。例えば、神宮の歴史やどんなお祭りごとがあるのかなどなど。そうした問いに、
「神宮のいちばん大事な祭事は神嘗祭(かんなめさい)で、その年に出来た新米を天照大神さまへ感謝を込めて、いの一番にお供えするんですよ。」
あるいは
「神嘗祭のほか、一年に13の大きなお祭りがあるんですよ」
はたまた
「神宮では毎日祭事があって、朝夕に神様へお食事をお供えしているんですけど、神様がここにおわすようになって以来1500年、戦争や自然災害があっても一日も休むことなく、今まで続いているんですよ」
などと、よどみなく答えていく私ですが、実は私の知識の大部分は、山中隆雄先生(モラロジー研究所参与)のご講演やご著書の『日本の心を伝える伊勢の神宮』から得たものでした。

本書には、伊勢神宮の内宮と外宮の平面図も載っております。図があると、祭事のイメージもしやすいですよね。

山中隆雄先生へ感謝!

 平成25年、神宮では20年に一度の式年遷宮が行われました。その年の6月、モラロジー研究所において山中先生の記念講演が式年遷宮のタイミングで開催され、私もお話をお聴きする機会を得ました。講演の中で先生は、「世界中に数多の神話が残されてはいるものの、神事や風習などの形としては残っていない。ただ日本では、神話が今も生き続けている」と具体例を紹介し、
「私なりの表現ですが、『ぴちぴち』生きています」
とおっしゃいました。この「『ぴちぴち』と生きています」という表現が、私の心の中にとても印象深く残っています。
 なお、今も日本に生きている神話のくだりは、『日本の心を伝える伊勢の神宮』に詳しく記されています。

 先日、『モラロジー研究所所報』5月号の「歩みこし道」に登場された山中先生。その関係で、編集にお電話をくださり、たまたま受話器をとった私は、山中先生のお声に触れることができました。その瞬間、義母と伊勢を回った思い出が鮮やかによみがえってきました。期せずして、私が一番必要としている時に神宮の知識を与えてくださった山中先生。感謝の言葉もありません。あらためて本書を読み返し、いろいろなことを思い出しました。