幸せの土壌は「感謝の心」
今回は、そのときの思い出や感じたことをまとめてみました。すると、幸せには「感謝の心」が大事ということが見えてきました!
良いことが起きたから「幸せ」? 普段、あなたが感じている幸せって何ですか?
大好きなものを美味しくいただけることも、幸せの一つ。
いよいよ、食欲の秋が到来です! 秋の味覚の王様といえば、松茸。最近ではついに絶滅危惧種に指定された高級食材ですが、10年ほど前に一度だけ、海外でおなかいっぱい食べたことがあります。
その国は、ヒマラヤ山脈の南にあるブータン。なんと、松茸の値段が日本の10分の1以下! 現地の人が言うには一番たくさん採れるキノコなのだとか。松茸好きの人には夢のような国ですね。
そのとき、いただいたブータン料理は、チーズでこってり味付けされた松茸がふんだんに入っていて、まるでシチューのようでした。たいへん美味しかったですが、松茸特有の風味を感じることができなかったことがちょっと残念。ただ、日本では考えられない、とても贅沢な思い出です。
ブータンは「幸せの国」
皆さんも、このキャッチフレーズを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ブータンといえば、国民総生産(GNP)ならぬ国民総幸福量(GNH)というユニークな考え方を国家の指標に掲げ、経済的な豊かさよりも精神的な豊かさ高めることを推奨している、小国ながら世界の注目を集めてきた国です。
2011年の東日本大震災の際には、若いブータン国王夫妻がいち早く被災地をご訪問。そのとき、小学校で子供たちに向けて語られた、ブータンの国旗に描かれている龍についてのやりとりは、多くのメディアで取り上げられました。
【自分の中にいる龍】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bhutan/visit/jigme1111/fukushima.html
ブータンの街を歩いて印象に残った2つのこと
まずは、現地の人の対応がとても親切なこと
大人はもちろん、通学途中の生徒さんでも、こちらが道を尋ねると笑顔で丁寧に教えてくれました。
もう一つは、街中で見かけたゴミの収集車です。
車のフロントにブータンの国旗と共に日の丸がペイントされていました。
経済的にはそれほど裕福な国ではないブータンは、様々な国から援助を受けていますが、受けるにあたって条件を設けているそうです。それは、援助の見返りがブータンの伝統文化を乱す恐れのないものに限るということ。そのかわり、援助を受ければ、それがどの国からのものかを、国民たちにもよくわかるようにしているそうです。
今思えば、誰もが私に親切だったのは、ゴミ収集車が日本からの援助だということに対して感謝の気持ちがあったからなのかもしれません。
ブータンは感謝の心を大切にしている国
ブータンは憲法で、国土の60%以上の森林保全を明記しており(実際は約70%を保持中)、自然を大切にしている国です。
毎年、国をあげて苗木を植える記念日「フォレスト・デイ」では、ただ植樹をするだけではなく、植えた人が責任をもってお世話をする、というユニークなルールがあります。なんと国王夫妻も参加されるこの活動。学校の行事にもなっていて、国民は子供のころから、先人たちが守ってきた森林に感謝をし、未来に受け継ぐということを学びます。
このように感謝の心を育てる土壌があるからこそ、ブータンが“幸福の国”と呼ばれるのだと私は思います。
感謝が幸福を連れてくる
ここで感謝と幸福の関係について、『ニューモラル 心を育てる言葉366日』(373ページ)から「感謝が幸福を連れてくる」をご紹介します。
―― ある心理学の研究によると、よく感謝をする人は、そうでない人に比べて「恋人ができた」「給料が上がった」等のよい出来事が多く起こっているというわけではなかったといいます。よく感謝をする人は、「今日は雨が降ったので、植物がみずみずしい」「出張したおかげで、新幹線から富士山を見ることができた」等々、私たちがふだん経験する出来事を肯定的にとらえる傾向があるということです。(中略)
「すべては心の持ち方一つ」といわれます。感謝の心は、私たちの人生を明るく切り開いていく、大きな力を持っているのではないでしょうか――
幸せの定義を考えてみる
あのとき、ブータンでお腹いっぱい松茸を食べることができたのは、ブータンの人たちが森林を保全しているからかもしれません。
あのとき、ブータンでとても親切にしてもらえたのは、私の知らないところで日本が援助をしていたからかもしれません。さらに、ブータンが感謝の心を大切にしている国だったからかも……。
こんなふうに考えたら、もう10年も前のことなのに、いまだに感謝の気持ちが自然と湧いてきます。それも、たくさんの人たちにまで。
感謝が連れてくる幸福は、その時の一人だけの幸福感ではなく、何年経っても大勢の方へ続いている、スケールの大きな幸福感に思えます。
ぜひ、幸せの定義を「良いことが起こること」から「感謝できること」にしてみませんか?
何事にも感謝の心で。幸せはきっと、日常の「あたりまえ」の中にある
ここで、身近な問題や悩みをどう感謝の心で受け止めたらよいかが書かれている本を紹介します。
育児疲れ、反抗期の子供との向き合い方、職場での人間関係など、日本全国から寄せられた日常生活のトラブルや悩みを、感謝の心で受け止め解決への糸口を探る20編です。
―― “考え方”ひとつで、こんなに生き生きする!
トラブルや悩みを抱えたとき、意外に気づかないのが、そのときの考えかたや心づかい……。
相手に原因がある、相手が変わるべきと考える前に、自分の考え方を変えてみよう。
目に見えない心のはたらきは、人生を左右する大きな力を持っている――(本書の帯より)
トラブルや悩みの渦中にいても、謙虚になって感謝の心を持つことが人生を明るくさせるヒントのようです。
日常の身の回りのことを「あたりまえ」として見ていると感謝できることは見えにくいけれど、「おかげさまで」と見てみると感謝できることはたくさん出てくることでしょう。
幸せの土壌を「感謝の心」で豊かにして、幸せをたくさん感じられる自分になれますように……。