ツレが仕事を辞めまして

 『れいろう』編集長の佐々木です。
 コロナ禍、佐々木家最大の出来事といえば、夫が仕事を辞めたことでしょう……。ですが、やはり夫が仕事を辞めたときって、心配するものですか?

 

あなたの人生で大切にしているもの、子や孫に伝えたいことは何ですか?

 5歳と3歳の2人の幼子を抱える私に向けられた周囲からの心配の視線と、義母からの「こんな息子でごめん!! 」という涙ながらの謝罪。
 皆さんならこういうとき、一体何を心配しますか? 生活費のこと、ローンのこと、精神的なこと?
 

たまに訪れるこうしたピンチを「きたきた!」と喜ぶ私は、「変わっている」とよく言われます。
 だって、私にとってピンチや困りごとは人生のネタ帳のようなもの。目前に締め切りが迫っているのに原稿が仕上がっていなくても、夜寝る前に「明日はお弁当がいる」という子供の告白も、「なんとかなるから大丈夫!」で乗り切ってきた私は、周囲の心配もよそに、また一つ人生が豊かになると喜んでいました。

あまりに心配しない私を見て、「なぜ心配しない」と夫は心配そうです。
 なぜと言われても……。だって、どんなに窮地に立とうが、財布の中が寂しかろうが、心だけは私の自由だから。人生を面白がるも自由、苦しむも自由でしょう?
そんなことを考えているうちに、『れいろう』(令和2年12月号)から一節が思い浮かびました。

—— 学校や社会では、「個を大切に」「みんな違って、みんないい」と言っているのに、「大きな声」「まとめられた言葉」「調査データ」などに“個の声”は、かき消されてしまいます。だからこそ、ご自身の言葉や気持ちを大切にし、その姿を孫や子に見せていただきたいと願います。
「あなたの大切にしたいものは、なんですか?」
ぜひ、ゆっくり、じっくり考え、お孫さんやお子さんに伝えてみてください。(令和2年12月号「イマドキの幸せ子育て孫育て」)——
 

ピンチさえ楽しむこと

 何も起こらないように注意しながら進む人生もすてきだけれど、困りごとの経験値があれば、いつか同じことに悩む誰かの力になれるかも。
 そんなふうにピンチを前向きにとらえ楽しむ親の姿を見ていたら、子供たちも失敗を恐れず挑戦する楽しさを学ぶかもしれない。ならば、私はその姿を子供たちに見せたい。

「自分にとって大切なこと」を考えたとき、私の心の奥底には、そんな気持ちがありました。

 皆さんはいかがですか。人生で大切にしているもの、子や孫に伝えたいのはどんなことですか?

 そうそう、「とはいえ、働かざるもの食うべからず!」と私にお尻を叩かれた夫は無事に再就職し、以前にもましていっそうたくましくわが家を支えてくれています。