良くあろうと心がける人に『最高道徳の格言』をおススメします!
あなたは「自分を律する言葉」を持ってますか?
閉店間際のスーパーへ行くと、生鮮食料品の売場には割引シールが貼られた食品が並んでいます。私自身は、特売品や割引品に対して“値段が安いから”という理由で手に取るのですが、妻の選択の理由は私と一味違い、“食品の救出”です。
「鶏肉が、“買ってもらわないと消費期限が過ぎて廃棄処分になってしまう”と話しかけてきたような気がした。誰の口にも入らずに捨てられてしまうのは忍びない。だから私が助けなければ」
こう真顔で言われた時には、思わずうなずくしかありませんでした。さすがに私にはその発想はなかった……。
そこで思い出した、この言葉。
「売るにも買うにも争わず他人を尊重す」
この言葉は、『最高道徳の格言』の96ページに掲載されています。解説には以下のように書かれています。
「この格言は、品物を売買する際の心得を説いたものです。私たちは、品物の購入に当たっては、少しでも安く手に入れようとして、商品をけなしたり、サービスを要求するなど、いろいろと理由をつけて値引きさせようとしがちです。そして、いざ買う段になると、あれこれと選びとろうとします。また、売る側においても、お世辞を言ったり、商品について偽りの説明をしたり、売れ残りの品を押しつけようとします(略)」
この格言は、簡単に言えば「売る人はよい品を。買う人は適正な価格で」ということなのですが、いざ自分自身を振り返ってみるとどうなのか……。案外、値札以上に安くあってほしいという欲求が生まれることがあります。理由をつけてまで値引きさせようとまではしないものの、ケチな考えが頭をもたげようとすることがない、とはっきり言いきれない。
そんなときに、自戒の意味を込めて思い出した言葉が「売るにも買うにも争わず他人を尊重す」という格言なのです。
良い心でいるために、抜群の効果を発揮する「自分を律する言葉」
社会にはたくさんの人が生活しています。ほとんどの人が良くあろうと心がけていると思います。でも、何かの拍子に悪い心が行動として表れようとすることがあるかもしれません。そんなとき、自分を律する言葉を持っているかいないかで、その後の行動は変わってくるのではないでしょうか。
私自身も、良い心も悪い心も両方持っている普通の人間です。悪い心がなくなればよいのかもしれませんが、それは非常に難しい。それよりも、悪い心が顔を出そうとしたときにどうしたらよいかという対処療法をまず考えます。
ほかにも、
- 「公平を尊ぶも円満を失わず」
- 「自己の好悪をもって他に強いず」
など、特に自分を押し通そうとする心が出てきたときに、ふと思い出される一節が掲載されていて、その格言に思い違いを正されることが一度ならずありました。
この本は、心に迷いが生じた時、抜群の効果を発揮するような気がします。
「今より良い社会を、次の世代に……」。その思いは、これまでも変わらない人々の願いだった?!
今回の話を書くあたり、本書をあらためて最初から読んでみました。すると、まえがきの一節が目に飛び込んできました。
「今日、科学技術の進歩は私たちに生活の豊かさをもたらしましたが、併せて物質本位や利己主義などの社会風潮を蔓延させ、各所で人間疎外の深刻な問題を生んでいます。また、行き過ぎの情報化社会にあって、人々は情報過多に翻弄され、正しい価値観や生活基準を見失いつつあります。現代はまさに危機と混乱の時代であるといえましょう」
え? と、思いました。まったく古さがない。
このまえがきが書かれたのは、昭和59年5月5日。つまり、まえがきにある「今日」や「現代」というのは、今から36年以上も前のこと。
この本が世に出てから36年間、社会にあまり大きな変化が起こらなかったのかもしれませんが、人の心はずっと同じ願いを持ち続け、同じ課題に取り組んでいるということではないでしょうか。
その願いと課題とは?
「今より良い社会となるように」という願いを持ち、そのために私たちができることとは、“一人ひとりが良い心づかいと行いを身に着けていくこと”だと思うのです。
自分を律する言葉を持つことから初めてみませんか?
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これからも「道徳で人と社会を幸せに」を指針に、良い本をお届けしてまいります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。