「無用の用」に学ぶ
こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。
住宅地の中に残る森。
ここで、子供たちが森の保全活動のお手伝いをしています。
スローガンは「自然体験をする子供から自然を守る子供へ」。
子供たちが楽しく保全活動に参画できるようにと、
保全団体の代表が活動内容をコーディネートしてくれているのです。
数年前のことです。
集まった子供たちの中には、反抗期の子も多くいました。
さて、サポーターである大人として、私はどう向き合えばいいのだろう……。
そこで、代表に相談しました。
「子供たちを見ていると……積極的に活動する子、
手伝わないで遊ぶ子、どちらでも良いという子、の3タイプに分かれます。
どちらでも良いという子は、周りの様子を見て
自分の行動を決めるので、最終的には遊ぶ子が多くなるのが現状です。
とはいえ、叱ることは、お互いにとって得策と思えません」
すると代表はこんな話をしてくれました。
「アリの世界でも、よく働くアリがいる一方で
働かないアリもいて、よく働くアリだけを集めた
としても、その集団の中でまた働かないアリが
出てくるという話がありますね。
もしかしたら……働きアリが疲れた時や何かあった時は、
休んでいたアリの出番になるんじゃないでしょうか。
ただ、その子たちも遊ぶだけではいけません。
遊びだっていつかは飽きてしまうものです。
仕事は自分を成長させるうえでも大切なことですから、
仕事の時間を2時間と決めませんか?
そして皆でお昼をいただいた後は自由時間でいかがでしょうか 」
「参加させるには」とばかり考えていた私。
でも、彼らはとても自然体だったんだな~と気が付きました。
「彼らを受け入れる」というベースが私の中に生まれ、
それまで張り詰めていた緊張の糸がやわらいだように感じました。
現在は中学生になった子供たち。
学校のボランティア部に入り、今でもお手伝いに参加している子もいます。
『道経塾』で連載中、東京大学名誉教授の月尾嘉男先生の「100年先を読む」。
110号の「無用之用が組織を永続させる」から一節をご紹介します。
――機械装置には「遊び」という仕組みがあり、
アクセルには踏み込んでも一定の範囲は作動しない余裕がある。
これが円滑な動作を保証している。
現在の社会は眼前の有用を過度に追求しすぎるが、
それは長期の発展を保証するわけではない――
「無用の用」、なるほどです☆
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