家が続くということ

はじめまして。オンラインショップ「道徳の本屋さん」店長の佐野です。

先日、母と話をする機会があり、そこで佐野家の過去帳の話が出ました。

その過去帳は、父が昔の記録を調査して、まとめたものなのですが、その最初の記述がなんと「寛永元年」というのです。

「寛永元年」というのは、その13年後に島原の乱をひかえた江戸時代初期で、西暦でいうと1624年です。その年に亡くなった人が佐野家を興したとして、正確な年はわからないまでも、佐野家は400年ほどの歴史を持っているということです。

自分の家の歴史がそんなに古いものだとわかると、なんだか急に「この血を絶やしてはいけない」と思うようになりました。もちろん、世の中には400年よりも古い歴史を誇る家系が存在します。その最たるものといえば、日本を象徴する存在である皇室ではないでしょうか。

 

ここで『皇位継承の歴史と廣池千九郎』の一節をご紹介します。

――皇位の継承というのは、古代から現代に至るまで、必ずしも平穏に続いてきたのではありません。むしろほとんど危機の連続であります。平たく言えば、危ない綱渡りをしながら、ようやくつないでこられたのです。

そのことをしっかりと認識しないで、観念的に「日本の国体はすばらしい」とか「万世一系は永遠不滅だ」などと言うのは、一種の幻想にすぎません。そんなことでは、何ゆえに日本の国体(国柄、国家の在り方)が世界に冠たるものと言い得るのか、また結果的に「皇室は万世一系で続いてきた」と言えるのかが、ほとんどわからなくなってしまうおそれがあります。これまで平穏に続いてきたのだから、これからも自然に続いていくだろうと、錯覚してしまいがちですが、そうではありません――

先日、亡くなった祖母がことあるごとに話してくれた話。75年前の戦争で町が大空襲に襲われた際、祖母が生まれたての父を背負い、曽祖父母の手を引いて、炎に包まれた町を逃げ惑ったそうです。その時に生き延びることができなかったならば、今の佐野家はありません。江戸時代も飢饉などによる、存亡の危機を何度も乗り越えてきたのでしょう。

わずか400年の歴史でも、幾つもの危機を迎えたのですから、皇室が迎えられた危機の数はその比ではないのでしょう。それでも皇室が現在まで続いてこられたのは、その時代時代の人々が皇室を連綿と続けていくために、力を尽くしてきたからにほかなりません。私たちの祖先は、なぜ、そこまでして皇室をつなげてきたのか。その理由も『皇位継承の歴史と廣池千九郎』に書いてありました。

今上陛下のご譲位を来年に控えた今、ぜひ皆さんに読んでいただきたい1冊です。

 

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