木の名札
こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。
地元の森の保全活動に、家族で参加していた時のことです。
会の代表が
「子供たち、集まって~!これから、森の中で木のレスキューをしてほしいの。
木に、ワイヤーで名札のプレートをくくりつけてあるのだけれど、幹が成長するにつれてワイヤーがきつくなって、くい込んでいってしまう。痛々しくて可哀想でしょ。だから、ワイヤーがパンパンになった木を見つけて、付け替えてほしいの。その時、コイル状にしたワイヤーを付け足してあげると、コイルが伸びていくから、しばらく大丈夫よ」と。
そこで、子供たちはワイヤーを鉛筆の芯などにグルグルとまきつけ、7センチくらいのコイルをたくさん作りました。
いざ、森の中へ!
「発見!!」
「この木もだー!これは、痛そうだ」
「こっちも、あったよー」
などと、森の中で、小さなレスキュー隊は大活躍。
作業終了後、
「なんか、いいことしたよね~」と、清々しい様子の子供たちでした。
こちらの写真は、研究所キャンパス内の「ムクノキ」。
コイルで名札がくくりつけられていました。
コイルの一部に伸びた部分を発見し、木の成長と、人々の愛情を感じ、心が温まった小林です。
ここで廣池千九郎エピソード〈第1集〉『誠の心を受け継ぐ』より一節をご紹介します。
――3人が懸命に斧を振るい、ようやく薪の束をつくり上げた後、あのきれいな花を博士のもとへお土産に折っていこうと相談しておりますと、それを耳にした娘さんが、とんでもないという顔で、私たちを制しました。
「そんなことをしても、博士は決してお喜びになりません。先日も、ある紳士が、やはり美しい花を折り取って、博士のところへ持ってこられましたが、その方がお帰りになられてから、博士は、しみじみとこうおっしゃいました。『この花も気の毒だったな。自然の野山で伸び伸びと咲いているのがいちばんいいのに、こうして折ってきて差しておいたのでは、首を切ったり手足を折ったりして差してあるようで、わしにはとても気の毒で見てはおれん』と……」
これを聞いて、私たち3人はため息をついて顔を見合わせ、“折らないでよかった”と、胸をなでおろしました。
「仁草木に及ぶ」という、博士の書かれた格言の1節を思い出しました。たとえ小さなことのようでも、このように草木のことまでも思いやる慈悲心が、積もり積もって大きな人類愛の大慈悲心にまで高められていくのだと思いました――