お父さん、あの玉子、とっても美味しかった!!

こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。

義父は生前、車で片道30分くらいの場所にある養鶏場で、玉子を買ってきては近所の友人や親戚に配っていました。
私たちが帰省した時も、
「玉子はあるか? 持って帰れよ」と、よく持たせてくれました。

それは、鮮やかな濃いオレンジ色の黄身をした、とても大きな玉子。1箱に30個入る化粧箱に入っており、時には、そのほとんどの玉子の黄身が2つだったことも。
いただくたびに、楽しませてくれる美味しい玉子でした。

父が亡くなり1ヶ月。
「ああ、お父さんがよく買って来ていた、あの玉子が食べたいわね」と、母。
何度か父に付き添ったことがある夫が運転をして、その養鶏場に連れて行ってくれました。

養鶏場に着くと、店頭にはMサイズの玉子が3パック並んでいました。
「お父さんが買ってくるサイズより小さいけれど、この時間というのに、まだ玉子があって良かったわ! 」と、嬉しそうな母。
「親父がいつも買っていたのは2Lサイズの玉子なんだよ。そのサイズは予約しないと、すぐに売り切れてしまうそうだよ」と、夫。

その帰り道、夫がこんな話をしてくれました。
「親父は、わざと高い買い方をしていたんだ」
“どういうこと?”と、首をかしげた私たちに
「親父の車のトランクに玉子のトレーが何枚も入っているだろう? 初めの頃は玉子だけを買い、そのトレーで皆に配っていた。でも、ある時から店の化粧箱を買うようになった。ただ、化粧箱だけで何百円もするから、玉子があと何個か買えるわけだ。店の人も“損しますよ”と話をしたのだけれど、親父は化粧箱にこだわったんだ。
それは、店側に少しでも利益が出るようにと考えてのことだった。店側が喜ぶ買い方をすれば、親父はお得意さんとなり高い品質の玉子を買うことができ、親父が配る先でも喜ばれる。
店も、親父も、その先も、皆が喜ぶ買い方だって、そう考えていたんだ」と、夫。

“なるほど!! 父の気持ちと店側の気持ちが込められていたから、あんなに美味しい玉子だったのか……”

ここで『モラルBIZ』平成30年10月号の「格言に学ぶ人間力 7」より一節をご紹介します。
――売る人は買う人の幸せを願い、買う人は売る人を信頼し、感謝する。お互いが相手を尊重する心で接するとき、そこに「売って喜び、買って喜ぶ」という関係が生まれます――

「お父さん、あの玉子、とっても美味しかった!! ありがとうございます」と、話したときの
「そうだろ? 」とニカッと笑った父の笑顔には、たくさんの喜びが込められていいたのですね。

 

  

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