フットワーク
こんにちは。オンラインショップ担当の小林です。
地域の森の保全活動に参加しています。そのなかで私は、“子供たちの活動隊”サポーターとして活動写真や文章で記録をとるなどしています。
昨年、保全団体はNPO化が実現し勢いが加速した一方で、私は生活の変化により失速。足が遠のいてしまいました。子育てに両親のことなど、私生活に変化のときを迎えている私です。
先日、久しぶりに保全活動に参加したときのことです。
「おはようございます」と皆さんの輪の中へ入って行くと、突然のことにも関わらず、いつものように温かく笑顔で迎えてくれました。
この日の活動は、森の中のスギの枯れ葉集めです。
初めて来てくれた男の子もお父さんも、黙々と作業を手伝ってくれました。そこで、
「この枯れたスギの葉は、焚き付けのとき燃料になるんですよ。いずれ、活動で“かまど調理”をすることがあると思います。なかなか出来ない体験だと思いますので、これからもぜひお子様とご一緒に参加くださいね」と話しかけました。すると、
「私は、日曜日の休みがそうないのです」と、少し申し訳なさそうな表情をされたお父さん。
毎回の参加はできないことを気にしてくださっているように思えて
「大丈夫です。無理をされませんように」と、私。
「ですが、息子は生き物や自然が大好きでとても気に入っているようです。また参加させてください」と、優しい言葉をかけてくださいました。
忙しいなかで息子さんと触れ合える貴重な時間を、この活動に使ってくださっていることに感謝です。
スギの枯れ葉以外に落枝も拾い集めました。そうして作業を終えると、森の中はだいぶスッキリです。こうして背の低い植物たちにも日差しが届くようになると、春には緑の絨毯をいっぱいに敷き詰めてくれます。
“あ……、このことを、男の子とお父さんにもお伝えするべきだった”と、気づいた私。
自分たちが参加した今日の活動が、ここに自生する植物たちにとっても意味があるということを伝えることは、とても大切なことでした。また、春に親子で参加してくださると嬉しいな~と思う小林です。
活動終了後に、代表から会員に向け次のようなお話がありました。
「“子供たちの活動隊”サポーターさんが小学校で配布してもらえるよう頼んでくれた年間スケジュールや、フェイスブックなどのSNSで、最近は新しい方も活動に参加してくれるようになりました。しかし、サポーターさんが1人もいない活動日だと、私たちも勝手がわからず受付すらできない状況です。これでは森の魅力も十分に伝えることができません。そこで、私たちシニアもサポーターの仲間入りをさせていただきたいと思います。そして、新しくNPOとなった団体として“子供たちの活動隊”の位置づけをどうするかという問題があります。そこで、“部”として確立させようという案が出ています。いかがでしょうか」と、代表。
代表は、“楽しみながら保全活動をする”ことをモットーとしている方です。私たち親子も、これまでたくさんの経験をのんびりと楽しくさせてもらいながら、多くのことを教えていただきました。一方で、団体は地権者の高齢化で森自体の存続が危ぶまれる将来の不安や、会員全体の高齢化と人材不足という問題を抱えていました。そこで、希望を持ちNPO化に踏み出したのです。
しかし、踏み出したばかりの今の団体には、活動自体を楽しむ余裕がないように見えます。
“少ない人材に対し作業も責任も増えたことで、私自身がどこまで期待に応えられるのだろうか? この現状でも森の活動に定着してくれる新しい方はいるだろうか ”と不安に思っていたのです。
そこで、
「私は活動内での会話が何より大切だと思うのです。例えば、今日の活動も新しい方に何も伝えなければ“ただスギの枯れ葉を拾った”となりますが、なぜ拾うのかを参加者に話しかけることで、その意味が伝わります。シニアの方たちが伝えようとしている昔からの知恵を受け継ぐことにもなると思います。そういった意味で、新しい“若い世代”と“シニア世代”の“架け橋”になることが、サポーターの役目だと思っています。
NPOの中で“部”にならずとも、毎回イベント盛りだくさんの内容にしなくても、新しい方になるべく話しかけることを会員の皆さんで心がけていれば、親睦を深めたり魅力を伝えることは可能ではないでしょうか」と、私。
すると「ん……、自分はあまり人に話しかけるのは苦手」と、困惑した先輩。そこで、
「いつも通り活動してくださるだけで大丈夫です。私が“あっ! あそこで枝に引っかかった危ない落枝を、今、撤去しようとしてくれてますよ。森の中は、下ばかり見てしまいますが頭上も気をつけなくちゃね”って、新しい方にお話しますから。それが“架け橋”としての私の役目ですから」と言うと、一同に笑い声が出て、安心された様子です。
「たしかに会話をすることは一番大事なことですね!! なるべく話しかけるようにしましょう。それと、“部”への昇格についてですが、ほかのサポーターさんから賛成の意見も出ています。それに、私たちもサポーターになりますので、ここは1度、“部”にしてみてはいかがでしょうか。うまくいかなければ、またやり直せばいいのですから」と、代表。
いろいろな意味で揺らぎやすい私や、“子育て世代”のサポーターを申し出てくれたことに、不安だらけの気持ちが少し前向きになりました。
ここで、『未来をひらく人間力――「心を磨く」新入社員心得帖』の第5章(4)「感謝する人生が好運命をつくる」から一節をご紹介します。
――教育哲学者・森信三氏(もり のぶぞう)(1896~1992)は、「幸福とは、縁ある人びととの人間関係をかみしめて、それを深く味わうところに生ずる感謝の念にほかなるまい」、また、縁を大切にする人を、「小人は縁に出会うて縁に気づかず、中人は縁に出会うて縁を生かせず、大人は袖触れあうた縁をも生かす」とも述べています(『修身教授録』、致知出版)。
よいチャンスは、多くの場合、人が運んできますが、そのチャンスをものにできる人に共通するのは、フットワークがよく、何事にも積極的に行動しているという点です。みずから積極的に動くことで、よい出会いを得ているのでしょう――
代表はまさに「袖触れあうた縁をも生かす」ような方です。
いつも幸せいっぱいの笑顔で、市内の森を走りまわっているパワフルな方です。
きっとこれからも、そのフットワークの軽さで新しい方との出会いを得ていかれるのでしょう。
そんな素敵な方とのご縁に感謝するとともに、見習いたいと思う小林です。