「人間らしく」育てる
「1日、1日と慣れてきたのか、泣かないようになったと思います。家を出るときも嫌がらないようになりました。早く保育園のお友達の輪に入ってくれればと思っています。風邪気味で鼻水と目やにが出ているので、心配しています。お兄ちゃん達とよく似ていて、風邪をひきやすいので、先生方にお世話をかけると思いますが、よろしくお願いいたします」
こんにちは。オンラインショップ「道徳の本屋さん」店長の佐野です。
上の文章は、私が2歳から通い始めた保育園の保育士さんと母親のやり取りを記録したA6サイズのノートの最初のページに書いてあったものです。このノートは私が結婚する前に母親からもらったものですが「バスの窓から母親のバックを落とした」とか、「部屋の畳にクレヨンで落書きした」などと、自分のことながら、2歳のころの無軌道なエピソードに驚かされます。
ノートを読み進めていると、そのやり取りがほぼ毎日あったことに気づきます。1人分を毎日書く、母親の大変さもさることながら、クラスの人数分のノートを毎日書いていた保育士さんのことを思うと、自然と感謝が湧いてくるのを感じます。
ここで『親になる前から学びたい 安心の子育て塾』から一節をご紹介します。
――人間らしく生きる――これはよく聞く言葉です。人間らしく生きるには、それは人間でなければできません。しかし赤ちゃんは、まだ人間ではない。人間になるためには悉(ことごと)く教えられなければなりません。赤ちゃんは「人間らしさ」というものを、何一つとして持って生まれてきてはいないのです。
この、まだ人間になっていない赤ちゃんに人間としての行動パターンを身につけさせることが「躾」「教育」です。そうして、それを実行する人が母であり、父であり、師であり、友なのです。
私たちが今、人間らしく生きているということは、自分の力だけで、一人でこのようになったのではありません。母、父、師、友の四人と、そのほかに親切と好意を持った人たちから、いろいろと教えてもらった結果、人間になることができたのです。だから今度は、私たちが赤ちゃんに教えてやらなければならない、すなわち赤ちゃんを人間にし、さらに日本人にする役目の順番が回ってきたのです――
(田下昌明著『親になる前から学びたい 安心の子育て塾』25~26ページ)
このノートを見る限り、私もまた、母親や保育士さんに「好意」を持って接していただいたおかげで今があるんだなと、その恩に思いを馳せつつ、夏休みに入り、家の中を縦横無尽に駆け回る無軌道な子供たち3人を「人間らしく」育てることの大変さを考えるにつけ、母親や保育士さんの偉大さをしみじみ感じる今日このごろです。