近代黎明期の教育に学べ
廣池 千九郎 著
A5判・並製 215頁
勤勉、誠実、感謝、友愛、国や郷土を愛する心……。
学ぶべきことは先人の足跡の中にある。
明治21年、気鋭の青年教師が編んだ「史実に基づく道徳教材」全3巻、ここに完結!
【 主な内容 】
1.農法書は国家の宝典なり
2.農業を執るものは農法を知らざるべからず
3.世に生まれて益なき者は禽獣に劣れり
4.民を救うは農政の学にあり
5.一時の毀誉は憂うるに足らず、百年の公論、憂うべきのみ
6.協力の至るところ、金石を堅しとせず
7.事の成功は不屈忍耐の後に待つべし
8.仕官は国益を図るの意より望むべし
9.度量狭きものは大事をなすに足らず
10.書を読むは事理を解せんがためなり
11.天子の恩は死に至りても忘るべからず
12.自国を思うの精神は自己を重からしむ
13.過ちあるもよくをこれを改めば幸福を得るに至るべし
14.身の異動によりて志を変ずる者は小人なり
15.私の怨をもって公の益を害するなかれ
16.真正の愛国心は自国をして貴からしむ
17.難に臨みて身を退くる者は不義の徒なり
18.寸恩は尺報すべし
19.誠心の至るところ、事の成らざるなし
20.国難に遭えば男女を論ぜず 力に従いて働くべし
21.人民幸福の進歩は発明の力による
22.人、我に負くも、我、人に負くなかれ
23.幼稚のとき、父母の命に違う者は、長じて何事も成し得ることなし
24.わが道に力を尽くす者を真の尽力家と言う
25.親に仕えて孝なれば自然に福あり
26.楽歳に凶年を思うべし
27.人の親睦は神の企望なり
28.真正の勇気は義人の脳裏に住む
29.愚者と争えば己もまた愚なり
30.行い正しき人は危うきを知らず
31.勉強は不景気に克つの力あり
32.国事に力を尽くす者は厚き待遇を受く
33.賢者は危うきに近づかず、またよく人を愛す
34.身を愛する者は、またよく国を愛すべし
35.招かずして来たるの禍なし
36.富むとき富裕を言わず、貧しきとき貧窮を語るべからず
37.兄弟の友愛は一家を固むるの轄なり
38.よく親を養い、またよく親を安んずべし
39.何等の職業を問わず、困難に克ちてよくこれを守り、よくこれを勤むべし
40.忍耐すれば事ついに成る
41.みずから業を励み、また人を勧めて業を勉めしむべし
42.よく積み、よく散ずるを真の理財者とす
43.志を合わせたる姉妹の力は丈夫に優れり
44.国民たる者は大義名分を誤ることなかれ
45.正しく工夫を凝らせば新発明をなし得べし
46.良法善規はよく事業を全からしむ
47.真正に世の福利を祈らんと欲せば、視聴の二官をゆるがせにすべからず
48.己の利害を顧みずして国家の利益を図るべし
49.着実に事業を励むものは富貴名誉共に至らん
50.成功は労苦の結果なり
[付録] 遠郷僻地 夜間学校教育法
【著者略歴】
廣池 千九郎(ひろいけ ちくろう)
慶応2年(1866)3月29日、大分県中津市生まれ。青年期に教育者として初等教育の普及に取り組み、未就学児童のための夜間学校開設や、道徳教育の充実を目的とした『新編小学修身用書』の発行、日本初の教員互助会の設立などにも尽力した。さらに地方史の魁となる『中津歴史』を執筆、のちに『古事類苑』(日本最大の百科史料事典)の編纂に携わるとともに、「東洋法制史」という新しい学問分野を開拓、大正元年に独学で法学博士号を取得した。大正15年、『道徳科学の論文』を完成させ、総合人間学モラロジーを創建。昭和10年、千葉県柏市に「道徳科学専攻塾」を開設し、モラロジーに基づく社会教育と学校教育を共に行う生涯教育をスタートさせた。現在、社会教育は公益財団法人モラロジー研究所、学校教育は麗澤各校(大学・高校・中学・幼稚園)を有する学校法人廣池学園へと受け継がれている。昭和13年(1938)6月4日逝去。享年72。著書に『支那文典』『東洋法制史本論』『伊勢神宮と我国体』『日本憲法淵源論』『道徳科学の論文』ほか。