やる気が一番 ~道徳の授業で使えるエピソード~
初任から二年目の小学校四年生の学級開きの日でした。新しい学級の子供たちに挨拶をして、今年の抱負を子供たちに発表させて学級目標を決めました。休憩時間になったので、黒板消しを持って黒板を拭きながら、「黒板を先生と消したい人?」と問いかけると、何人かの子が挙手をしました。「やる気がある学級でうれしいね。じゃあ、手を上げた人全員に任せるから順番にきれいに拭いてください。K君からお願いします。先生はね、このようにすすんで仕事をやってくれる子が好きです。」K君は、手の届かないところは椅子を持ってきて丁寧に消していました。次の時間の始まりで「K君にお願いしたらこんなにきれいに黒板を拭いてくれました。気持ちいいですね。K君ありがとう。次はJさんにお願いします。」と話しました。
次の日、私は教室の電気を点けようとして「教室の明かりをつけたり消したりしたい人はいますか。」と聞いたところ、別の子が二人、挙手しました。「やる気のある子が、増えてきてうれしいです。それでは、二人で担当してください。」とお願いしました。その後、何かあるたびに仕事をやりたい子を募集し続けました。
子供たちには「やる気が大切です。やる気があればいつか目標を達成できます。勉強だって、スポーツだって、何だってできるようになります。先生はそのようなやる気のある子を応援します。積極的に頑張った子が失敗しても、失敗した本人が一番がっかりするので怒りません。失敗したら、次から失敗しないように気をつければよいのですから・・・。」と話し続けました。
そのうちにこの子たちは「あそこが汚いので掃除していいですか。」、「ここが壊れているので修理していいですか。」などと学級外にも目を向けるようになっていきました。一学期末には、しらけ気味で斜(しゃ)に構えているような子までも巻き込んでいきました。最終的には学級全員が何らかの仕事を受け持ってくれました。
子供たちからはいろいろ教えられました。その一つが、係活動は子供のやる気を育成するのに効果的であるということでした。子供たちはすすんで体を動かし、皆と関わりたいのです。学級での存在感を得た子供たちは生き生きと過ごすことができました。
(『学校のちょっといい話』より)