1枚の写真と2枚のDVDの贈り物~学校のちょっといい話~


「桜の季節から若葉が芽生える頃となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。先日はTに素敵な卒業のお祝いをいただき、ありがとうございました。Tの部屋に飾らせていただいております。」
 ある母親の手紙です。1枚の写真と2枚のDVDが共に届きました。
「4月5日に入学式を無事済ませ、大学の授業も始まり、少しずつですが、新しい環境、生活に慣れてきたようです。どのように大学の生活が送れるのか心配と期待で胸がいっぱいだったのですが、特別支援学校の手厚い保護のもと6年間を過ごしてきて、声をかけたりLINEを交換したりする仲間もできたようで、親としてもひとまずほっとしているこの頃です。」
 写真には電動車椅子のT君と、小学校からずっと同級だったMさんが某大学の前で一緒に写っていました。にこやかに・・・。
「Tは教職課程をとって、(できれば特別支援学校の)中学の英語の教師になりたいという夢をもっています。それは、Tが小学校、特別支援学校中等部・高等部を通して、自分の生き方、考え方に大きな影響を与えてくれた先生に出会えたこと、かけがえのない友達に出会えたことが理由です。先生には小学校の6年間いつも見守り支えていただき、心から感謝しております。」
 DVDには各々「中等部」「高等部」と記されていました。
「Tが仲間のためにつくったDVDを、ぜひ先生に見ていただきたくお送りしました。特別支援学校で過ごした6年間を知っていただけたら、と思っています。」
 彼が編集した2枚のDVDには、仲間と先生方との幸せな日々や努力の様子が詰まっていました。この画像1枚1枚を観ていると、彼と6年間一緒になって成長していけた自分が目の前によみがえってくるようで、胸が熱くなりました。彼の夢が叶うことを心から祈ります。

(『学校のちょっといい話』より)